信号機

うしろを振り返らずに飛び出したけど
離れてしまった影はどこへ消えたの?

暗い道にはまばたきする信号機が
「迷子の影のお知らせです。」
澄ました声でアナウンス

崩れた遠近感の夜の街には
近くて遠いあの人
追いかけてたら
足元、飲み込むような
深い黒に溶ける声 身体ごと

「迷子の影のお知らせです。」

あの信号機は探している
わたしの影のことなのか
わたしが影の影なのか
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