ひとりのくに

真夜中の あいつの ベルに
口笛で 応えてみる
人知れず 生きているのは

誰かに 見つめられたくて
誰かを 見つけられなくて
誰かの 中に住みたくて
誰かを 閉じ込めていたい

あのベルが 聞こえる度に
思い出す ことがある
陽の沈む どこかの街で

誰かが 笑いかけている
誰かが 下を向いている
誰かが 走り出している
誰かが 空へ石を投げた

あいつは 歌う 闇へ向け
耐え切れず 眠るまで
歌うことが 無くなっても

何かに おびえていたくて
何かと はなしていたくて
何かを つなぎとめたくて
何かが 消えてゆくまえに
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