ヤミクロ

宵、夢、まどろみの奥で沈む
心の底から這い出す
人はこれ“ヤミ”と呼ぶ
その名を失った
鐘の音を合図に 足元に忍び寄る
影 迷い者

宵闇から抜け出して
君を飲みこもうとする黑
「染まらないで」という
君の叫びは 街に掻き消えた
言葉の洪水 吹き荒れゆく風

後ろの正面だぁれ?で笑い合えば
蝕まれできた都市の死骸たち
モノクロの海
そこで生まれるおとぎ話
ヤミヤミは 鏡の中に封じこめて

夜は全てを飲みこんだ
寝静まった街で
さぁ!始まりだ!
「白と黑の共演」

君は信じるかい?こんな途方にくれる結末を
その色あせた傷の奥
鈍色に光る真実があるということを
でも
このことだけは君とぼくのひみつだ

後ろの正面だぁれ?で向かい合った
幾つものものが
生まれて死ぬこの街で
能面の顔
角笛の音合図で
僕の背中を 巣食うは迷い者
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