三年坂

三年坂は あじさい色の雨の中
人恋しさへと つづく道
濡れて登れば うす紅(くれない)の花の香に
別れた あなたを 忍ぶ坂

一年前の約束どうり
僕のぶんまで しあわせを
あなたはつかんでくれただろうか

思い出に降る 京都の雨は絹の糸
あの日のあなたの髪ににて……

三年坂は うすむらさきの雨の中
人恋しさへと つづく道
きょうも ひとりで 逢えないひとと知りながら
面影ばかりを 探す坂

一年前は ひとつの傘で
ふたり歩いた この坂を
あなたは覚えて いるのだろうか

古いお寺の 日暮れを告げる鐘の音(ね)に
諸行無常の響(おと)を聞く……

三年坂は あじさい色の雨の中
人恋しさへと つづく道
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