十六歳

夜が明けた地下鉄、コートを着た二人の階段の足音に白い息が溶けてゆく。

きっと戻れない日々眺めてた。たった一つが欠けて、諦めて。

ただ願っているの。出口を探して街の音を聴いてるだけ。
黒い人たちが地下街を混ぜて、逃げてばかりいるの、まだ。

歩道橋の上から、緑色と黄色が眩しくて目を閉じた。鉄の匂いが漂う。

まだ覚えてるかな 唇に塗った思い出はもう忘れたの。

愛されたいとか思ってもいいの。きっと誰かは泣いてるの。
交差点の中で見失っていった手と手、冷たい日の朝。
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