モデラート・カンタービレ

ポロ・ベアのセーターの少年
赤いゴムまりを石畳について
朝霧にまつ毛を濡らし
港の方へかけていく

太陽の見すぎで酔っぱらった少年の魂が
死に向かって走る一陣の風に変わって
少年はすり減っていった

「そうか、わかったぞ! 普通の速さで歌うことが
どうしてできないのか。太陽のせいだね。
ギロチンは処刑台を降りてでも
ぼくの首をはねに来るだろう……」

ギロチンの足音がきこえる……
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