フロンティア

この鍵を フロントに預けたら
プライドの気が済むまで
あの日から 逃げていよう
フライトの時間まで
暗い日をもてあますの
12月の空の色

ただ足を棒にして
ひとりきり 歩いてくの
空欄を埋めるように
木枯らしの冷たさに
飛び込んだカフェテリアの
加湿器の息は白

行き場のないメロディーが

もの想えば 追えば
声にならない言葉が
「フォーエバー」
舵をとれば 船は
波にたゆたう花びらのなか

フロントを後にして
フライトの時間まで
旅行記を終わらせる
飛行機がくる前に

行き場のないメロディーが

心に蓋をすれば それは
とるに足らない事柄
そういえば
旅はエンデバー ディスカバー
辿り着くヴァスコ・ダ・ガマ
「ボン・ボヤージュ」

光るコードバンのかばん
肩に食い込む重みを背負えば
たとえば冬場
風にかじかむ手のひらのまま
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