萩の雨

しだれ柳に そぼ降る雨が
水面(みなも)に小さな 輪を描(えが)く
そぞろ歩きの 藍場川(あいばがわ)
何処にあなたは いるのでしょ
今もはずせぬ この指輪
なぞればせつない… 萩の雨

一度忘れて 二度あきらめて
それでも消えない 恋ごころ
春になったら 咲き匂う
赤く可憐な ヤブツバキ
わたし待ちます それまでは
女にやさしい… 萩の雨

傘を斜めに 傾(かたむ)けながら
白壁 格子戸 石畳
愛し愛され 結ばれた
きっと帰ると 信じてる
暮れてわびしい 城下町
夢でも逢いたい… 萩の雨
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