おんまつり

あなたの指の冷たさは確かに僕のせいだろう
転がり始めた悲しい坂道は止まらない
迷いに迷う道を尋ねあぐねて興福寺
ふと足を止めて眺むれば心に棲む阿修羅

ああ遙か遠くで何かを求めて鳴く鹿の
声は寒く飛火野あたりを吹き抜けてゆく
ああいつかもう一度あなたの心の灯火と
瓜灯籠の灯り待ちわびて御旅所あたり

今宵春日のおんまつり
たった今降り始めた雪が
闇を真白に染めてゆく
振り向けば若宮のお松明

始まりはいつでもどんな恋でも同じ様
小さく優しくずるく熱く強く切なくて
我を呼ぶおのが心の声を塗り重ねて
気づけば隘路迷路に立ち迷うことばかり

ああ季節を忘れて誰かを求めて啼く烏の
声も切なく春日社に響いて揺れて
あああなたの幸せを護りたまへと御願い
聞こしめせよと祈り祈れば御蓋山

今宵春日のおんまつり
煙る様に降る白い雪が
全て真白に染めて行く
耳を澄ませば警蹕の声

今宵春日のおんまつり
たった今降り始めた雪が
間を真白に染めてゆく
振り向けば若宮のお松明
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