名もない花に乾杯を

おまえの涙が 雨になり
俺の行く手に 降りかかる
別れも言えずに 捨ててきた
やすらぎやれぬ その女(ひと)を
ひとり旅路で 想い酒
名もない花に乾杯を

波間にかすかな 船灯り
あれはおまえの 命火か
お酒の相手で 生きるしか
取り得もないと 微笑んで
摘んだあの日の 野辺の花
名もない花に乾杯を

ちぎれた未練の 糸の先
たぐり寄せれば 過去ばかり
海辺の日暮れに カモメ鳴き
都会の風に 泣く人よ
せめて祈るよ 幸せを
名もない花に乾杯を
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