蝶の舌

名前のない色使いと
人混み模様の空気が
微熱であやとりしてる
すれ違う様

人は今夜どこへ行くの
肌身を剥いて心だけ
持ち合わせてるような枕気分
窓の外を覗くように
すきま風が通り抜けたんだ

祈るようにそっと握って欲しいんだよ
目覚まし時計の悪夢が舌を引き抜いて
ゆめうつつ
あやふやになる前に
さらって欲しいんだよ
君に

帰り道の交差点の
剥げた止まれの標識が
落ちた白百合に見える
勘違いをするくらいの

実りの無いおとぎ話でもいい
出鱈目で不細工だった日々にめがけて
放り投げてみた秘密の呪文
なるようになるしかない

でも

君の声が部屋のカーテンを揺らしたように見えた
見えない僕の気持ちと思い出は届くかな
ゆめうつつ
戻れない君にせめて
贈り物をしてあげたいんだよ
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