初夏、殺意は街を浸す病のように

青すぎる天井から逃れて、狂ったように冷えた箱の中
煙を喫む蘭服に睨まれて、自分が酷く愚かしく思えた

コンクリートの上で気化する想像が、やけに生々しい
今日も渋谷の喧騒が灰に帰す夢で眠りに就く

君のその声が過去になる前に、僕を殺してくれないか
夏に毒されて茹だった頭で、それなりの愛を歌っている

コンクリートの上を逃げてくように、
君の背中に渦巻く沈黙と怨恨を見送るとき

君がその声を捨ててしまう前に、僕を殺してくれないか
熱に冒されていかれた頭で、嘘塗れの愛を歌う

六月に溶けた花嫁のように、白が君を連れ去っても
神など要らない 夏の不条理に潰されぬように背を向けて

夏に毒されて茹だった頭で、それなりの愛を歌っている
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