忠犬ハチ公

あぁ きっと待ってるんだろうな
ずっとずっと前に着いて
じっと渋谷の駅の前で

たぶん前世 犬でしょ
素直ないい人
好きだって何度言われたのかなあ
ずっと はぐらかした

そんなに 言うなら 最初で最後
魔が差しちゃってデート

ついてくるよりもついていきたい
乙女ごころも分かんない
一回だけ お茶するだけ それ以上は何もない
好きになる わけがないの 君を
なのに こんなオシャレして どうかしてる私

ねぇ どこだっけハチ公って
小さくて地味だし
なかなか見つけられないな

それってなんか君みたい パッと見じゃ目立たない
よくよく探してあげなくちゃ
良さが見つからない

なんでも かんでも 言うこと全部
聞かれると怖い

ついてくるよりもついていきたい
一緒にいるとわがままが
暴走して 加速しそう そんな恋はしたくない
なのにまた 鏡を取り出して
前髪 ちょっと直しちゃって どうかしてる私

ついてすぐ 君は私めがけ
しっぽを振って走り寄って
うれしいとか かわいいとか 言い出すから恥ずかしい
この場から 早く 逃げ出さなきゃ
もうドキドキが止まらない
ぎゅっと手を掴んで ばっと歩き出して
ぽっと赤くなって 最悪...
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