-6m

むぎわら帽子
少年の亡霊
セミに気を取られて
マンホールに落ちる

マンホールは暗い
暗いは恐い
累々と重なる
捨てられし者たち

目を閉じればあの川の流れが
聞こえているのか下水の中で

買物カゴの親子
長グツを求め
ファッションタウンをさまよう
あるわけもないのに

水溜りまたげぬ
都市の亡霊は
足を滑らせて排水口に落ちる

鉛の兵隊は火の中より出で
魂だけが地下をさまよう

いつしか消えにし
淀みのうたかたよ
今宵心ゆくまで
騒げばいいのさ

振り返れば
あの少年の追いしセミが
今飛んでた気がする
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