透明電車が走る

朝を待つ、とろけそうな歌を歌って
傘もなく下北の駅の高架下で
罪とか罰は感じそうで感じないや
開き直るが勝ち

工事現場の上を
透明電車が走る
意味はなくもないが
どうせ届かないから
バカなフリでやり過ごせ

思い出すよ十七の夏の夕暮れ時
海の傍の今は沈んだ交差点で
信号の赤を繰り返して
君を睨んでいた

遠い昔の話に
透明な雪が積もる
いまどこにいるのか
知ったこっちゃないから
好きなように腐ってくれ

這いつくばってもっと踏ん張れ
退屈なんかもう蹴散らせ
崩れそうはち切れそうだ
どうせ届かないから
バカになって走り抜け
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