青空バス

寝坊した朝に 飛び起きて
ボタン掛け違えたまま出かける
雲一つない 空を行く風
疲れた体 通り抜ける

川沿い古いバス停前
ポンコツのシートに滑り込んだ
見慣れた景色 窓に映して
砂利道の上 走り出す

どこかへ連れて行って下さい
バイトを放り投げ 遠くの方へ
本を広げてあくび一つ
優しい日射しが頬を撫でてく午後
居眠りをする 青空バスの中で

隣の席のおばあちゃんは
いつ見ても誰かの マフラーを編み
虹色橋の手前のカーブで
語り出すんだ 恋の話

彼の手紙を握り締めて
無邪気に微笑んでる 女の子も
ネクタイ緩めた おじさんも
子供に手を焼いてる お母さんも
みんな揺られる 青空バスの中で

たくさんの今日を乗せて行く
変わらず白い煙を吐き出して
小さな箱に詰めた想い
この街一番の 眺めを抜けて
ドアが開けばそれぞれ別の場所へ

ガタゴト走る青空バスを降りて…
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