曖昧で美しい僕たちの王国

辻褄合わせでは片づかない感傷がほころび出した頃も、
君をずっと知っていた。
衣更着に挟んだ栞をさらう風。
言葉も形もない心になれたらいいのにな。

戻りたいような、忘れたいような、
遠のく日々も花の雨だ。
祈りのうちに重ねた手は、
なにかを伝えられたのかな。

白い城壁があり、汚したい欲がある。
口にさえしなければ怯えることもない。
曖昧で美しい僕たちの王国だ。
辿り着く果てのない十字路で戸惑うことがすべて。

戻れないことは、忘れないことか。
手離す愛は知らないまま。
すがれば崩れてしまうのも、
綺麗な過ちになるかな。

優しくなれないことが怖くて、
必要とされないことが怖くて、
それでも呼び続けるのは、
君の四季にいたいだけ。

戻りたいような、忘れたいような、
遠のく日々も花の雨だ。
祈りのうちに重ねた手は、
ほどかないままでいて。

戻りたい距離と、忘れたい瑕疵の、
後ろめたくも美しい国。
その声のありのままに触れて、
いつかは繋がりあえるかな。
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