夜明けのマーチ

本に挟んだしおりは捨てた、あなたが作った押し花の匂い。
過ぎ行くものばかりにあなたは愛を注いだ。
金木犀はもう咲いていないよ

買ってくものある?って甘やかすくせに、
その目に僕は居ないから悲しくなった。
響いても意味がないな

夜更かしをした君が笑ってた。
「やっとあなた、涙が止まったわ」
春の明け方、望んだ言葉は出ないまま。
合鍵を返したその手は何故震えたの?

買ってくものある?って甘やかすくせに、
その目に僕は居ないから悲しくなった。
愛したって意味がないな

夜を明かした、眠れない僕は
変化を望んであなたを遠ざけた。
悲しいんじゃなくてあなたに添いたいだけなのに、
もうすぐ夜が明ける

夜更かしの唄、君はいないまま。
布団に潜った、においが残ったままの。
春の暮れ方、望んだ想いは伝えぬまま。
愛し方は最後さよならを綺麗に言うこと。

夜明けの街へ、夜更けの君と。
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