雪見宿

想い出を追う旅の仕度は
墟のように軽く……軽く……
糊のきいてる浴衣に着がえ
ひざをくずして泣いてみます

とっくりを並べてもうひとついかがと
写真のあなたへ話しかけるなんて…
ちょっと淋しい雪見酒
まだ酔えません雪見宿
ひとり唄でもうたいましょうか
哀しみをこらえて

やさしさなんて口走るほど
人生を知ってもないし
あなたを憎むそれができれば
楽になれるとひとりごとに

もう寝ようかなんてあなたの声真似て
冷たい布団に背中丸くしても
ちょっと淋しい雪見酒
まだ酔えません雪見宿
ちらちら煙る雪の破片を
哀しみに浮べて
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