アサギマダラ

ここから見えた景色
僕らの全てだった
言葉も価値も愛も
「前へならえ」とかかる号令

白線を踏み外し落ちないように
足元ばかりを見るような日々
帰り道 街路樹の蛹が殻を破るのを
いつまでも待っていた

飛び立つ空へ 目指した先は
好きなもの 好きなままでいられる場所
道も高さも羽ばたき方も
胸張って はみ出して 斑かなままの僕で

「自分らしさ見つけよう」
「自分を愛しましょう」
標語みたいな言葉掲げられても
分からなかった

ねぇ先生 あの時はそう言っていたけれど
先生は自分を愛せていたの?

飛び立つ空へ 愛せなくても
自分を信じる心 持っていたいよ
よく分からない けど誰よりも
きっと僕は知っているから

浅葱の海を 羽ばたきながら
水面に映る姿 歪んでいても
僕はもう 迷わない
胸張って 向き合うよ 斑かなままの僕で

木の枝の根元 残った抜け殻
行く先 見失ったら
思い出すといい 道標になるから

飛び立つ空へ 目指した先は
好きなもの 好きなままでいられる場所
道も高さも羽ばたき方も
僕だけで決めたいから

傷ついた羽 破れかけても
自分に嘘つくのだけは もう嫌なんだ
蹴散らそう んで、飛ぶよ
胸張って はみ出して 斑らかなままで
胸張って 信じて 蝶のように舞える日まで
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