声のしずく

覗き込んでもまだ
見えない時間が
深い声の中で
豊かに泳いでいる
跳ねる魚たちが
残してゆく波紋に
そっと触れて また君を少し知る

海に落ちる
ひとしずくが
心に響きわたる

昔を眺めては
伝えてきた鳥が
君の海の上で
気持ちよさそうにする
思い出し笑いに
つられて笑ったら
出会ってない頃の
こどもの2人になる

船が浮かぶ
おだやかな海
あの日の夢と似てる

時の粒が
今も君の喉を
震わせて
やわらかな声になる
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