百日紅

遠い遠い遠い日を
想いおこし泣いてる
好きだよと云えないで背を向けていたよ
「終りにしましょ
始まるものが何もないから」
そんな筈はないけれど
罪の重さ 深さに
頭(こうべ)垂れ 咲いていた百日紅
目に浮かぶ

今も今も今だって
忘れられず夢みる
ふるさとの駅頭でサヨナラを云った
「元気でいてね
たまには便り書いて下さい」
きっと出せと云いたげに
風に我が身揺らして
訴える八月の百日紅
目に浮かぶ

風に風に風に聴く
想い人の身の上
年嵩(かさ)を気にやんだあの人の噂
「ひとりで行って
私は嫁ぐ先があるから」
言葉信じ背を向けた
科(とが)のシッペ返しか
泣いている追憶の百日紅
目に浮かぶ
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