きみを連れてゆく

吐瀉のさきで首の影が混ざって気化したよ
明日ここは塩の試写室
エンドロール、練り歩く

朝、きみだけが
無邪気な胸を躍らせて
太陽につばを吐く
鍵穴に当たった!

まくらことば、わたのそこ、ぼくを運ぶ、呪いのように
鍵を飲んで、穴を食んだ
回らぬことを知って

デラシネの寓話
臓器に織り込んで

春の死骸
たわんだ根が
同じひとだと言う
何もかもいらなかった
同じひとでいてくれたら

そっときみは語りかけるよ
鏡合わせでもがくかえるへ
「厭わずに、慈しむ」
「東京タワー、見える?いま沈んだ!」
そっと鍵と穴を壊すよ
無邪気な胸をいま躍らせて
太陽につばを吐く
花のような目、何も見ていないね
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