晦日
あの人が書いた小説を読んで 四十度くらいのぬるま湯に浸かる
雪は明け方ごろ降るらしい
何処までも広がる群青の夜だ 生きているものの何ひとつないような夜
遠く山の稜線がひとつになって溶けてゆく
お蕎麦に入った柚子のかけらを お箸でそっとよけながら
防災放送が晦日を告げた
何処までも広がる群青の海だ 遮るものの何ひとつないような海
遥か遠くの街で花火がひとつだけ上がった
何処までも広がる群青の夜だ 生きているものの何ひとつないような夜
下を向いたまま 降りてくるメロディに気づかないふりをして
薬缶がシューシュー鳴いている
雪は明け方ごろ降るらしい
何処までも広がる群青の夜だ 生きているものの何ひとつないような夜
遠く山の稜線がひとつになって溶けてゆく
お蕎麦に入った柚子のかけらを お箸でそっとよけながら
防災放送が晦日を告げた
何処までも広がる群青の海だ 遮るものの何ひとつないような海
遥か遠くの街で花火がひとつだけ上がった
何処までも広がる群青の夜だ 生きているものの何ひとつないような夜
下を向いたまま 降りてくるメロディに気づかないふりをして
薬缶がシューシュー鳴いている
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