春擬き

探しに行くんだ そこへ

空欄を埋め 完成した定理
正しい筈なのに
ひらりひら からまわる

未来は歪で
僅かな亀裂から いくらでも縒れて
理想から逸れていくんだ

ぬるま湯が
すっと冷めていく音がしてた

道を変えるのなら
今なんだ

こんなレプリカは いらない
本物と呼べるものだけでいい
探しに行くんだ そこへ

「でもそれは 良く出来たフェアリーテイルみたい。」

答えの消えた 空欄を見つめる
埋めた筈なのに
どうしても 解らない

綺麗な花は大事に育てても
遠慮ない土足で
簡単に踏み躙られた

降り積もる白に
小さな芽 覆われてく

遠い遠い春は
雪の下

見えないものはどうしても
記憶から薄れてしまうんだ
探しに行く場所さえも 見失う僕たちは
気付かず芽を踏む

思い出を頼りに創ってた花はすぐ枯れた
足元には気づかずに

本物と呼べる場所を
探しに行くのは きっと

今なんだ

こんなレプリカは いらない
本物と呼べるものだけでいい
探しに行くから 君を

「ありがとう 小さな芽 見つけてくれたこと。」

君はつぶやいた
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