野菊の墓

私は十七 あなたは十五
姉さん気どりの 里の秋
日暮れて暗い 矢切(やぎり)の渡(わた)し
舟を見つめる 影法師

揺れて触れ合う 指先に
通う心は あたたかい
まわりの人は ふたりの仲を
汚(けが)れに満ちた 噂する

お墓に咲いた 野菊の花は
私のこぼす 泪なの

あなたは竜胆(りんどう) 私は野菊
恋をたとえる 花言葉
雨降り雲に 泣く十三夜
ともる提灯(ちょうちん) 宵(よい)祭り

本を読んだり 話したり
逢えばはにかむだけなのに
まわりの人は ふたりの仲に
疑り深い 眼をむける

お墓に咲いた 野菊の花は
私のこぼす 泪なの
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