太陽の羽化

群生するススキが 気が狂ったように手招きしてる
日差しは赤味がかり 夏では写せないものを露わにする
それは そろそろ訪れる 太陽の羽化

状態としての生をボンネットに縫い付けて
身体を輸送する僕は 誰かが描いた白線に沿って

風景にこびりついた憂鬱 とたんに思い出が痙攣する

砂漠に埋まった貝殻で指を切る
今日も来る 暗色の悲しい兆し
ついに訪れる 太陽の羽化
だけど 片方だけ 翅はなかった

季節ならさっき出て行った
つまらない歌を置いてった
僕らは遠く離れた
取り返しのつかないほど

浮かぶことを諦めた
太陽が町を照らした
始まることをやめた今日が
いつもの日常の振りした
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