携帯恋話

いつまでも手放せない感情は
ひとさじの甘さで薄汚れている
憧れの物語と違うのは
どうしても 不安になる以上の感触が
足りない

チクタク チクタク
君と交わす とりとめのない言葉 結わいて
チクタク チクタク
お別れの頃合いになっただけ
口元に残る甘さはどこへやろう

ねえ 愛してを繋いで 嘘だって笑って
どこへいたって受話器越し
手頃な恋話 決まりの台詞 息をひそめて
「愛してるよ」

口をつけずに冷めた紅茶を
捨てられないような恋でも
心以上の言葉で君を聞かせて
もしもし

思い出と今を繋ぐ回線が
いつからか解れかけていたんでしょう
ひとりきり 慣れてしまう手違いに
いつまでもささくれ立つ心が止まない

どうせならもう君が 最低な言葉で壊して
悪戯な優しさに 胸がおかしくなるの
苦しくなるの

どうせならもう君が 最低な言葉で壊して
悪戯な優しさに 胸がおかしくなるの
苦しくなるの

チクタク チクタク
君を探す 秒針握ったまま 迷って
チクタク チクタク
どうせまた おやすみになったフリ

もういいよ それならばもういいよ
が今日も言えないや
履歴にないような囁きはいらない

ねえ 愛すなら愛して 厭ならば嫌って
白黒つかないダージリン
瞼のいらない嘘の言葉に 愛をせがんでしまう
「いかないでよ」

口をつけずに冷めた紅茶を
捨てられないような恋でも
心以上の言葉で君を聞かせて
もしもし

君と繋げて もしもし
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