スロウボートのゆくえ

心の岸辺を発つ日はいつだってこんなふうに、
とめどない寂寥の風が旗を翻していた。

小麦の穂が鳴らした頼りないリズムで、
ささやかに祝福をしよう――僕らの舟出を。

涙の川をスロウボートは進む。
愛が照らしているあの大きな街へ。

限りあるストーリーから逃れようとしても、
いつかは命の果てが大口で僕らを喰らうんだ。

愛は戦いだった――手に入れたり手放したり。
目を逸らすな、その血の跡から花が咲くまでは。

夜明けの空をスロウボートは進む。
赤・白・青のたなびく彼方まで。
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