Radio Days

三文詩人が起き出すのはいつも日の出過ぎのスケート・パークで、
ドーナッツ・ショップでコーヒーを買って家路を辿る気ままな生活。

店内で耳にしたあれはPavement。
そういえば髪でも切ろうか、なんて思ったり。

早朝のシフトを切り上げてウェンディはバスに乗り、大学へ。
イヤフォンに響く高らかなヒット・ソング――
聴いちゃいないし、すぐに忘れる。

「気分よくやり過ごすことが大事」
そんなことを思う彼女もきっと、誰かが見てる。

興味ないようなふりをしてても、忘れられなくなる日々のことを
期待していた。
損はない、けれど得もしないような、ありきたりな特別に捧ぐ、
偉大なレイディオ・デイズ。

テレパスのケイティは恋の結末もプロローグもお見通しだ。
盗み出した電波で熱を上げながら追い越してゆくアイスクリーム・カー。

シネプレックス通いの回数で現実逃避指数を計っては、夏を待った。

どうしたいなんて考えてるとき、街の雑踏も移ろいゆくサウンドトラック。
正気じゃいられなくなるくらいに日差しが焼きつけてゆくのは、
あの眼差しだ。

「恋の記憶をかき集めたらこの国になる」と誰かが言ったらしい。

夕方になってジャクソンはジェーンとベースボールへ出かけて行った。
ポケットに隠した指輪の行方をホームの勝利に託してるのはここだけの話 。

そうはない美しい瞬間や、絵になるような日々のことを期待したいんだ。
しょうがないほどに輝いてるのは、ありきたりな特別に捧ぐ、
偉大なレイディオ・デイズ。

「アイスクリーム・カーを打ち捨ててあいつは西へ旅に出たぜ」
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