愛はまぼろし

愛するって悲しくて
とてもはかないものだわと
うつむくお前は ニ十才(はたち)前だった
そんな背中に黙って 煙草をふかして
窓にひろがる夜明けを 見ている俺だった
あじさいの花が散り 宵待草の匂うころ
なぜかお前を想い出す あの頃に帰りたい

青春って手さぐりで歩く 二人のようだわと
ポツンと言われて 胸を痛めたよ
背のびばかりを続けて 片意地張ってた
俺が一番バカだと 今なら言えるのさ
たそがれの雨の中 傘さえささず逃げるよに
消えたお前のうしろ影 思い出はまぼろしか

夢のない身で夢見て くちびる重ねた
若い暮しに疲れて お前は眠ったね
あじさいの花が散り 宵待草の匂うころ
なぜかお前を想い出す あの頃に帰りたい
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