ズームアウト

折れた翼を畳んで
旅に出て 久しくなるなあ
見栄ばかり張っていた頃を
なつかしいと思えるくらいには

木々が見下ろす角度で  僕のこと噂している
顔を出すまばらの空が 揶揄うような微笑を浮かべた

埋まらない鼓動 必要な休息
裏返しの羽をなおして
ただ上昇 少しでも高く

深い森の合間から 見上げた世界には
凛々しくまっすぐ 飛ぶ鳥がいた
つらい冬もきっと しんと乗り越えていたんだな
君にだけ見える景色があるんだろう

夜半の特異な高揚
だれが収められよう
いつもなら口をつぐむことも
この夜なら任せてもいい

広大な平野より 旋回して浮かび上がるそれは
人々の視線を想いのまま 静かに引き上げるのだ

ひらけた視界の空を飛んだ鳥は意外にも
フラつきながら 先を目指した
きっと数えきれないほど 憧れを抱いた
すべての音が 報われるように
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