夢路の宿

胸に冷たい 浮世の風が
絡む欄干(らんかん) 思案橋
しのべば暮れる 丸山あたり
今宵焦がれて 恋の街
燃えて身をやく 燃えて身をやく
夢路の宿よ

脆(もろ)儚い 情けの糸を
手繰り寄せれば 雨が降る
出島に向かう 坂道あたり
傘に寄り添う 影ふたつ
濡れて切ない 濡れて切ない
夢路の宿よ

運命(さだめ)哀しい 別れを連れて
路面電車が 鳴く夜明け
灯影(ほかげ)に揺れる 見返り柳
せめて一夜(ひとよ)の 恋まくら
後ろ髪引く 後ろ髪引く
夢路の宿よ
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