さんざんな朝

いつもの駅 改札タッチ「残高なし」
「すいません」の小声に誰か舌打ちした
「あなたを売ってください」の次の日の朝
急行電車が通過 誰もいないベンチ

もう見なくたっていいのに 何回も動かす指
あの子が撮ったストーリー 私があげた靴

落ちる理由もわからないし
あなたは「簡単だ」と言うし
白線の向こう側に 誰かが待っていたなら いいな
落っこちそう

きらめいたまま嫌いになりたい
あんなに優しくしてくれたこと
私はすぐに忘れてしまうからさ

きらめいたまま嫌いになりたい
あんなに一緒にいたのにどうして
あなたに会うたび私 黒くなっていくんだろう
「嫌い」

「役に立つ人になりたい」本当は思ってないのに
遠ざかる夢の色を もう思い出せない

値札を剥がすみたいに 落としたメイク黒く濁る
鏡の中ゆれている 私は私じゃないみたい
目そらしたの

きらめいたまま嫌いになりたい
あんなに一緒にいたのにどうして
あなたに会うたび私黒くなる どうしたらいいの

あのひとことだけで落ちた もう終わり
飛んだら楽になるかな
パンプスの黒に 白さす

あのね もうつかれたよ

「きらめいたまま嫌いになりたい」
わかってほしいなんて思ってないのに
私どうしてあなたには言ってしまった

きらめいたまま嫌いになりたい
私にあなたがかけてくれた
自分を嫌いになりそうなときのおまじない

「きらめきなくたって一緒にいたいよ」
「同じ色の景色を見てたいよ」
はにかんだあなたがくれた 耳もとのお守り
「好き」
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