透明な夜を引っ張って
開いた世界は泡のよう
当分の間君は待つ
ここに光が集まるのを

青い布に皺を寄せるように
静かに揺れる川の流れが 今
さやさやと心を舞い上げるから

震えて光る私に気がついて
また逢えない夜が続く限り
飛んでは消える儚さよりも
忘れられるほうが残酷よ

蛍 蛍 蛍よ 夢から覚めないで
蛍 蛍 蛍よ 夢なら褪めないで

蛍の夜に

曖昧な日々を引っ掻いて
描いた世界は泡のよう
当分の間ここで待つ
仄かに光が照らすのを

遠くない日々を思い出し
いくつもの夜を超えてゆく
遠くに離れた君が言う
いつもの場所でまたねと言う

柔らかくしぶきを上げるように
動き始めた光の粒が 今
ゆらゆらと心を舞い戻すから

震えて光る私に気がついて
また逢えない夜が続く限り
浮かんでは消える切なさよりも
忘れられるほうが残酷よ

蛍 蛍 蛍よ 夢から覚めないで
蛍 蛍 蛍よ 夢なら褪めないで

静寂な夜も 平等な朝も
鳴かない蛍が 身を焦がしている
遠くに離れた君に言う
いつもの場所でまたねと言う
綾なす明日に 欲張りな明後日に
泣きそうな空が もち堪えている
遠くないうちに いつもの場所で

震えて光る私に気がついて
また逢えない夜が続く限り
浮かんでは消えると分かっていても
ただ一緒に飛んで

もっと光る私に近づいて
また逢いたい夜が続く限り
飛んでは消える儚さよりも
忘れられるほうが残酷よ

蛍 蛍 蛍よ 夢から覚めないで
蛍 蛍 蛍よ 夢なら褪めないで

蛍の夜に
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