上州鴉

銀の朱房(しゅぶさ)に 塒(ねぐら)を追われ
旅を重ねた 上州鴉
なんの此の世に 未練はないが
一度行きたい
一度行きたい 母の里

姿やつして 身を忍ばせて
来れば故郷は 祭の太鼓
浮いた浮いたも やくざの身には
袖につめたい
袖につめたい 涙雨

瞼離れぬ 心の重荷
きれいさっぱり 流して解いた
亥之(いの)が情の 茶碗の酒を
呑んで 去りゆく
呑んで 去りゆく 旅がらす
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