はじめてのお酒

赤い櫛がぽとりと落ちて
私はじめて酔いました
窓から見えるおぼろの月を
鏡に見たてみつめます
愛しているといわれるよりも
惚れたといってほしいのは
一人の旅の気まぐれでしょうか
それとも女のせいでしょうか

洗い髪にそよ吹く風に
私しんみりなりました
一本だけのお酒の徳利
畳の上を転(ころ)げます
やさしい言葉かけられるより
武骨な腕がほしいのは
一人の旅の気まぐれでしょうか
それとも女のせいでしょうか

愛しているといわれるよりも
惚れたといってほしいのは
一人の旅の気まぐれでしょうか
それとも女のせいでしょうか
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