新宿満月

高層ビルに 飾ったような
真夜中の 白い満月
泣きぐせの女(ひと)が
ふり仰ぎ想う
故郷(くに)の山の端(は)の渡り鳥
酔いがさめたら 十五夜も終りね
せめて せめて せめて せめて
ホロリと泣かせてよ

人生なんて 寄り道ばかり
新宿は そんな溜り場
満月もいつか
ほっそりと痩せて
道を照らすのは街灯り
今夜だけでも 迷わずに帰るわ
せめて せめて せめて せめて
夢でも見させてよ

鏡のような 満月だけど
ためいきの 雲にかすんで
酔いどれの女(ひと)が
口笛で歌う
故郷(くに)を捨てた日の別れ歌
二年三年 忘れてた気持ね
せめて せめて せめて せめて
一人でいさせてよ
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