Basket Goal

向日葵の咲くあの坂道を越えたら、
蝉の鳴き声、聴こえてくる。

10分あれば辿り着けるつもりだった。
あと少しがやけに遠くて。

汗ばむ制服の白、始業の鐘が鳴り響く。

あの夏の日の校舎の陰で、
君に秘密を打ち明けた。

空の蒼さとプールの匂い、
遠く聴こえたピアノの音。

いま僕ら、何が出来る?
何が出来るのだろうか?

夕立ち色の夏っぽい風景の中、
渡り廊下で雨宿り。

いっそ心の奥の “モヤモヤ” さえも、
洗い流してくれるといいな。

うまく飛べない蝉に、
どこかシンパシーを感じてた。

むせかえるような体育館で、
バスケットゴール見上げながら。
寂しくなんかないよ。と言った、
君の言葉が胸に響く。
何ひとつ伝えられず、
ただ夏が終わってゆく。
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