Monster

ブリキの街を泳ぐ
いくつものたましいと
泡になって消える
私は醜いモンスター
夜明けの鼓動を聴いた

触れたら壊れそうな
柔らかな膜のなかで
空っぽの季節を過ごしてた
貴方に出会ってしまった
静かに抱き寄せられた瞬間
世界を愛しいと思えたんだ

崩れ落ちた教会
剥き出しの空に浮かぶ
冷たい月をなぞった
離れてゆくぬくもりにただ
縋ったのは 幼い記憶

どうか この闇をぬけて
明日からは“普通”でありたいと
ただ独り 願うことを
おかしいと誰が笑えるのだろう

今の私が 無力だから?

孤独はわかちあえぬものと
教えてくれたのは貴方
嵐が過ぎ去った朝の空気を
思い出せずにいるの

私ごと消しさって

どうかありのままの私を
あなただけには抱きしめてほしかった
此処から見える場所は
かつてのユートピア
冷えた心は雨曝しのまま

どうか この闇をぬけて
明日からは“普通”でありたいと
ただ独り 願うことを
おかしいと誰が笑えるのだろう
あの日の貴方 もう一度だけ教えて

今の私は 無力なモンスター

ブリキの街を泳ぐ
いくつものたましいと
泡になって消える
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