マーキュロクロムと卵の泡

夜明け
薄い肌着の肩紐が闇に結ばれていたんだ
首筋のくぼみ
そこはぬるい浅瀬の海

木目の先その向こうへ
夜を溶かしたような髪に
顔をうずめるのか?

妙な柄の靴下と
工事知らせるチラシ丸めたのに
穴が空いた明日

スプーンで
蜜を垂らした布は甘くただれた産毛の匂い
マーキュロクロムと
卵の白身と泡の日々

爪をたてて溶けていった
かげりゆく夏の色に染まって
息をひそめるのか?

表紙の無い雑誌と
うすいピザの肉がひからびて曲がる
皿の上の未来

岸辺を行くつもりだった
死んだように動かないベンチから
離れることができたら

月が照らす運河の
舟は夜に浮かぶ百日紅にも似て
屋根の上の宇宙
穴が空いた明日
明日
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