山形育ち

ごめんなさいね 気が利かなくて
話に夢中で 気がつかなかったの
空いたグラスに 身の上話
涙で注いで 夜は更けてゆく
都会で暮らして 長いけど
お国の言葉が 焦ると出るわ
山形育ちの 女です

しそ巻き 笹巻 おみ漬け ぺそら漬け
あなたにいつか 食べさせたいのよ
お酒の肴に ピッタリだから
あなたはきっと 気に入るでしょう
母から習った この味を
守ってゆきたい 都会の隅で
山形育ちの 女です

「疲れた時には、くたびっだはぁ…って思うし、イヤになったときには、
やんだぐなったはぁ…って思うのよ。故郷離れて何年経っても、心は
山形、へなこのまんま。りんごのほっぺの、へなこのまーんま」

上野に降りた あの日のことを
想うと今でも 切なくなるのよ
恋した数だけ 大人になるのなら
今より大人に なりたくないわ
何(なん)にもなかった あの頃は
夢なら今より 溢れていたわ
山形育ちの 女です
×