33歳のエンディングノート

冴えない夢みたいな現状
私がいたって 誰も気づかない
宛名のないエンディングノート
先に書いとくね

たまりにたまった あいつの置き傘
バスルームの 錆びついたシェーバー
夜中のうちにそっと 捨てておいて

街はいつも通り 騒ぐ
残り少ないバッテリーを抱いて
息遣いも聞こえないよ
似たような思い出がループ

生きてる意味って本当にあるのかな
だって最後はサヨナラなのに
テーブルに置きっぱなし 延期になったライヴのチケット
どうせなら 理解る人にあげたいな

正社員で 働く彼
母さん だいぶ気に入ってたよね
ごめん、黙ってて 別れてたの

一人に慣れて ずいぶん経つな
「レンアイなんて面倒くさい」なんて
はぐらかしてたけど 無理してたのかな

街はいつも通り 騒ぐ
残り少ないバッテリーを抱いて
息遣いも聞こえないよ
似たような思い出がループ

傷つかないように すぐ飽きられないように
痛みとか 無自覚とか やり過ごしてきたんだった
余命なんてもう知らない あなたの笑顔にもう一度だけ
会いに行きたいよ 今夜

忘れてもかまわないよ 涙なんていらないよ
何ひとつ残せないけど いま私ここにいるよ
忘れてもかまわないよ 涙なんていらないよ
覚えててくれてもいいよ あなたに贈るこのエンディングノート

街はいつも通り 騒ぐ
残り少ないこの人生(とき)を抱いて
息遣いも聞こえないよ
また新しい朝が来る
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