クロノスタシス

もう一度ドアを開けるまで
ノルマで生き延びただけのような今日を
読まない手紙みたいに重ねて
また部屋を出る

明け方 多分夢を見ていた
思い出そうとはしなかった
懐かしさが足跡みたいに
証拠として残っていたから

大通り
誰かの落とした約束が
跨がれていく

この街は居場所を隠している
仲間外れ達の行列
並んだままで待つ答えで
僕は僕を どう救える

飾られた古い絵画のように
秒針の止まった記憶の中
何回も聞いた 君の声が
しまっていた言葉を まだ 探している

ビルボードの上 雲の隙間に
小さな点滅を見送った
ここにいると教えるみたいに
遠くなって消えていった

不意を突かれて思い出す
些細な偶然だけ 鍵にして
どこか似たくしゃみ 聞いただとか
匂いがした その程度で

臆病で狡いから
忘れたふりをしなきゃ
逃げ出しそうで

例えば未来 変えられるような
大それた力じゃなくていい
君のいない 世界の中で
息をする理由に応えたい

僕の奥 残ったひと欠片
時計にも消せなかったもの
枯れた喉を 振り絞って
いつか君に伝えたいことがあるだろう

それっぽい台詞で誤魔化した
必要に応じて笑ったりした
拾わなかった瞬間ばかり どうしてこんなに
今更いちいち眩しい

この街は居場所を隠している
仲間外れ達の行列
並んだままで待つ答えで
僕は僕を どう救える

僕の奥 残ったひと欠片
時計にも消せなかったもの
枯れた喉を 振り絞って
いつか君に伝えたいことが

失くしたくないものがあったよ
帰りたい場所だってあったよ
君のいない 世界の中で
君といた昨日に応えたい

飾られた古い絵画のように
秒針の止まった記憶の中
鮮明に繰り返す 君の声が
運んできた答えを まだ
しまっていた言葉を 今 探している
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