平安女流絵巻

むいーんむいーん ぽんぽんぽん
さらさらさらさらさ うっふふー

紫式部に 初めてカレシができた
ほそ腰なで髪 アイドル系のきらきら男の子
天才女流と 云われていても
恋の てにをは わからない 経験不足
朱雀通りの物陰で 抱き寄せられて
ドキン、ドキン、ドキン、つい、和歌を詠んじゃった
「あしびきに 十二単衣の袖擦るも
ぬがしたもうな わが胸小さき」
若き人にはわからずや 小さきものの大きさよ
さっさと逃げてく おとこのかぶらに 手を降りて
うつせみの あづさゆみ 筆をにぎりて ちはやぶる
ひと夜のうちに 書きすらめ
想いを念じ ほうじ茶煎じ お寺は卍 良い返事 源氏物語

清少納言が おかしなクルマに乗った
星から時から トリップ式の ゆらゆら牛車
感覚女流の まなこを染めて
平安の果ての平成の 景色が流れゆく
羅城門に雪降らず 花また咲かず
ドキン、ドキン、ドキン、つい、和歌を詠んじゃった
「いさなとり 太刀に変わりて たひち責む
許したもうな 我が胸苦しき」
先の人にはおもへずや 古ものの縁やも
浮かび消えゆく 町のやからに 眼を伏せて
かぎろひの あまのはら 筆をにぎりて あおによし
ひと夜のうちに 書きすらめ
春には桜 夏には神楽 秋にホワグラ 冬いくら 枕草子

むいーんむいーん ぽんぽんぽん
さらさらさらさらさ うっふふー

和泉式部は 夜毎にホテルを変えた
過ぐる日むかう日 レジャンド調の うすずみ几帳
哀憐女流と 云われるままに
人の情けのうたかたを 憂いて嘆く
五条高辻雁はつか 後朝あわせ
ドキン、ドキン、ドキン、つい、和歌を詠んじゃった
「あらざらむ この世の果ての 想い出に
今ひとたびの 逢うこともがな」
藤原孝標の女も 藤原道綱の母も
産みて産まれし 儚きものを露忍び
たらちねの からころも 筆をにぎりて つるぎたち
ひと夜のうちに 書きすらめ
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