微熱ソーダ

熱くなりすぎない くらいで
ずっと下がらない 微熱が
ソーダみたい はじけて 飛んで 消えた

いつもと同じ 蝉時雨の帰り道 
今日は二人 だけで歩いた
あいつのいない ぎこちない会話だけど
平気なふりで やり過ごした

知ってるんだよ わたしはまるで透明で
薄緑の ソーダみたいな存在で
本当は 好きだって
言ってしまえば終わる
関係だから

熱くなりすぎない くらいで
ずっと下がらない 微熱が
ソーダの泡 みたいに 浮かぶ
続く微熱のせい 意識が
朦朧としてる 刹那に
飲みきれない ソーダの 泡が 撥ねた 

古い喫茶店 雨宿りの夕暮れは
なんかみたい ベタな設定
いつも通りの くだらない会話だけど
全部が違う 楽じゃないね

知ってるんだよ 君があいつを好きだって
本当は 胸の奥の奥 痛いけれど
 
全然   
悲しくなんかない わたしは
さようならが嫌い 永遠に
このままの 関係がいい

続く微熱のせい 氷が
少し溶けてきて 溢れた
ソーダ水が グラスしたたる

熱くなりすぎない くらいで
ずっと下がらない 微熱に
浮かされて はじけて 飛んで 消えた
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