月と街灯

朝のにおい 少し苦手 追い払うように眼を細めて
外の車 曇った窓 なぞって濡れた指先はまだ

キミに触った 温かかった やさしいだけの記憶宿して
今ではもう作り話みたいで笑えるけど

街灯の明かり 僕らこっそり 心の裏側 覗き合って
ちょっと照れくさい 夢の話 相槌打って 聞いてくれた
いたずらっぽい横顔が好き 髪のにおい 口癖とか
鼻歌とか 星の空も 全部引き剥がして また朝が来る

冷たいドアノブをまわして 空気の海に飛び込んでいく
言われた通り 息継ぎもして 溺れないで駅まで行けるよ

僕は変わった 慣れてしまった でも時々は思い浮かべて
それはそれで 元に戻りたいこととは違うから

夜にぽっかり空いた穴のような月を見上げていた
その向こうに何があるの? 知らないけど想像して
泡の切れた ぬるいコーラ きっと同じことを思った
泣いていたの? 知っていたの? 全部ごちゃまぜにして また朝が来る

もう眠るよ 夢でばったり もし会えたら 大人みたいに
「元気?」なんて 聞くんだろうな それくらいがちょうどいい

街灯の明かり 僕らこっそり 心の裏側 覗き合って
ちょっと照れくさい 夢の話 相槌打って 聞いてくれた
いたずらっぽい横顔が好き 髪の におい 口癖とか
鼻歌とか 星の空も 全部引き剥がして また朝が来る

髪のにおい 朝のにおい 街灯の明かり
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