透明な心

青空が霞足早に流れる水蒸気の塊が
線を書いている
小さな体躯の中では青々と輝いていた
人の心に当てられ、削ぎ落とされた色で
世界ができている
触れられなかった白と塗りつぶされた黒のみが混在している

笑った彼の瞳はだんだんと細って
繊細で綺麗な線を綴った
今を知った額の汗は光を食む
そうして白く色づいた
終幕は今始まったところだと

騒音が鼓膜に、光と葉網膜に
つまらない時間を生として
風が僕を通り過ぎる、
興味などないと言わんばかりに
地を背に抱え世界はひとつになる妄想をする
色は消え、赤は落ち
黒と白の世界、
おどけて水銀を吸って吐き出したものは空気ではなく世界の色だった

笑った彼の瞳はだんだんと細って
憂鬱で綺麗な線を綴った
今を知った額の汗は光を食む
そうして色を閉じ込めた
終幕は今始まったところだと
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