月蝕

泣いてたあなたを抱きしめたのは私なのに
違う誰かに照らされたんだ
満月の夜は 嗚呼 心が陰る

キッチンシンク溜まった洗い物が二人を裂く
簡単なことだったんでしょう
わかっていたってそれすらもう

浮き沈みする私はシンクに溜まったそれと同じ
何となくを重ねてさ 隣に居ただけ

泣いてたあなたを抱きしめたのは私なのに
違う誰かに照らされたんだ
満月の夜は 嗚呼 心が陰る

何十年に一度の今日がやってきたと話すテレビと
1LDKにベランダ煙草を吸った君が
夢中になったスマホは私より面白いのかしら
今透明になっても君は気付かない

泣いてたあなたを抱きしめたのは私なのに
違う誰かに照らされたんだ
満月の夜は 嗚呼 心が陰る

辛い時だけ 楽しい時だけ
たまに見上げる月みたい
君になくて困る 人には
嗚呼 なれなかった

泣いてたあなたを抱きしめたのは私なのに
違う誰かに照らされたんだ
満月の夜は 嗚呼 心が陰る
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