朝靄に溶ける

空っぽのワンルーム
もう行かなくちゃ
大きめのマフラーが
後ろ髪を引くんだ

手作りのカーテンと
ぶら下がったライト
寝具で精一杯の
あの部屋で僕ら

何度も何度も笑い合って涙して
身勝手な言葉で君を傷つけた

君の匂いで目が覚めて
夢現にそっとキスをして
寝ぼけ眼微笑むのを
横目に見てたんだ

なんでもないような毎日が
苦しくなるほど愛しくて
朝靄に溶ける東京に
重ねてる冬枯れの日

ドア開けば香る
フリージアとウッド
胸が詰まるのは
ここで息をしていたから

埃が積もっている
おもちゃの花々
永遠と思っていたわ
それなら同じね

ずっとずっとそばにいたくて思いは余って
未完成でもいいよね なんて甘えてた

君の主成分は愛だ
1ミリも手放せなくて泣いた
不細工な日も綺麗な日も
世界一だったんだ

二人でよく見た南の空に
いつも通りみたいに光ってる
オリオンに想いを託し
ここを去ろう
さぁ行くよ

まだ眠っていたいのに君が
無理やりに僕の手を引くから
僕が月なら君は太陽みたいで

粉雪混じりの雨に紛れ
二人の記憶はやがて町へ
溶け出してゆく
遠くなってく

君の匂いで目が覚めて
夢現にそっとキスをして
寝ぼけ眼微笑むのを
横目に見てたんだ

なんでもないような毎日が
苦しくなるほど愛しくて
白息に溶けてく君を眺めてる
それじゃ、またね

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